昨日、完成本が届きました。
(下の写真の左側の絵は、現在受け付けに飾っています)
最後の最後まで心配だったのは色です。
画集というのは本物の絵の微妙な色合いが出ないと、
全く別物になってしまうからです。
色校正はしたものの、出来上がりを見るまで不安でした。

画集を作る際、原画の油絵をプロのカメラマンに写真撮影してもらい、
そのデータを元に作成するのですが、
自宅でセットを組み1日がかりで撮影したため、
多少自然光の入り具合も影響しているのか、
ホンの少しだけ原画よりトーンが暗く感じるようなページもなくはないのですが、
9割方、うまくいったのではないかと思っています。


この画集は特に商業目的で作ったわけではなく、母自身が望んだものでもありません。
また母は高齢ということもあり、もう絵は描けないと言っています。
一時、プロ画家として活躍していた時期もありましたが、
商業画家になることを嫌い、ある時期から描かなくなってしまいました。
私は芸術というのは、作者の心の赴くままに制作してこそ、
心打つ作品が出来上がると思っています。
ですので、母には無理に続けることはすすめず、
もし気が向いたら描けばいいよと、言ってきました。
また創作活動というのは、自分の体、心、魂を削って行うものです。
もともとそこまで頑強でない母は、父が亡くなってから、
子供や孫のために長生きをするために、エネルギーをすり減らしたくないから、
もう絵は描かないと言うようになりました。
周りからすれば、楽しみながら程ほどに描けばいいのにと、おっしゃる方も多いのですが、
本人からすれば、中途半端な作品は描きたくないということのようです。
色々と心中複雑なようで、また気が変わるかもしれませんが、
自分の納得いくように元気に長生きしてくれたら、
私達家族はそれでいいと思っています。
この画集は、母の人生の集大成の記念品として、
(少々おしつけがましい親孝行ではあったのですが)
娘の私が余暇を使って楽しみながら制作したものですので、
今回印刷した部数がなくなったら終了です。
発行日は偶然時期が重なったのもあるのですが、
母の誕生日になっています。
鍼灸院の待合に2点、開業以来ずっと母の絵を飾っていて、
治療以外の癒しの部分で貢献してくれています。
気に入ってくださるのは、圧倒的に女性が多いです。
そんな患者さんの一人であるライターの谷口雅美さん、
グラフィックデザイナーの楠田有子さんの思いも
いっぱい詰まった画集になりました。
今回、院内で患者さんを中心にお分けすると共に、
お世話になった南船北馬舎さんのお力で、
現在、予約受付中の表示ですが、2/11頃からの発送となります。
ご興味ありましたら、またご覧下さいね。