カテゴリ:東洋医学・鍼灸( 129 )

回帰考

思えば16年近くも、鍼灸を通して病んだ人々と接してきた。
もともと頑健とは言えない私が、18才で体調を崩してからというもの、
自分自身を見失い、フラフラと彷徨い続けながら、
自分を治すために選んだこの仕事。
他にもやりたい仕事や夢はたくさんあったが、
どんな仕事でも体力がないと、こなせないと思った。

患者さんを治すといいながらも、患者さんに注意することはすべて、
同時に自分にも言い聞かせてきた。
患者さんと一緒に悩み苦しみ、そこに自分を投影し、
患者さんを救うことで自分自身も救われてきたのだ。

そういった年月の中で、自分もずっと鍼灸を受け続け、
東洋医学の思想に日々学びながら、
私って体弱かったんですと言っても、誰も信じてもらえないくらい、
随分と元気な人間になってしまったのが、今も信じられない。

東洋医学には、先天の気・後天の気という考え方があって、
先天の気とは親からもらった気(生命力)、
後天の気とは生まれてからの生活や養生・東洋医学的治療などで養われる気。
先天の強さは皆生まれ持って違い、未熟児や障害児、病みやすいもの、
疲れやすい体質のものはどうしても先天が弱いといえる。
しかし、たとえ弱く生まれついても、食事、運動、鍼灸や漢方などで後天の気を養えば、
先天の気を二倍にまで強くできると言われているのだ。
この東洋医学独特の考え方は、本当に凄いことではないか?

先天の気が強く体の丈夫な人は、無茶をして体をいたわらず、短命になることも多い。
逆に体の弱いものの方が気をつけ、長生きすることも良くある話だ。

初老の患者さんとよくこんな会話をする。
「せんせ、長生きは結構ですわ」
私はいう。
「早よ死にたいんやったら、こんなとこ来たらあきませんやん。
長生きさせるような治療やのに」
するとまた言う。
「いや、病気やなかったら何歳でもいいですねん」
「そうでしょ、自分で何でもできて、人に迷惑かけんと生きれるんやったら、
90でも100でもいいでしょ」
「いやーそれでもそんなにいらんわぁ(笑)」

病気で長生きはしたくない。元気だったら何歳でも
人間って勝手なもんです。
何もせずコロっと逝けるなんて、そんな虫のいい話あるわけがありません。
ならばいつか死ぬるその日まで、
健康でいられる生き方をしようではありませんか。

健康な人でも、事故などで短命な場合もあります。
結局のところ、寿命なんて神様しか知りません。
命あるかぎり、健康に生きたいという願いは
万人にあるものだと思います。

健康に感謝。健康にしてくれた東洋医学と、導いてくれた師に感謝。
そして一人でも多くの人が、健康で幸せな納得のいく人生を送れるよう、
お手伝いできればと思います。


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by yurikak5 | 2008-07-12 21:20 | 東洋医学・鍼灸 | Comments(4)

鍼灸ジャーナル 7月号

今年2月に緑書房より発刊された東洋医学の専門誌
「鍼灸ジャーナル」7月号の女性鍼灸師座談会のコーナーに、
参加させていただきました。

私が所属する「北辰会」という鍼灸学派の女医を含む5名での座談会です。
鍼灸には様々な流派があり、学校を卒業したあとも、そういった場所で
勉強する人が多いのですが、何故北辰会なのかという観点から、
鍼灸学生や初心者に向けてのメッセージを、といった感じの内容です。

今月は前篇で、次号9月号に続きます。
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by yurikak5 | 2008-06-29 00:15 | 東洋医学・鍼灸 | Comments(0)

日本東洋医学会in仙台

今日の大阪の蒸し暑いことといったら・・・。はぁー。
さわやかな仙台に戻りたいです。。。

仙台には「日本東洋医学会」という学会のために訪れたのですが、
ほとんど医師や薬剤師という中、我々「北辰会」は7症例発表させていただきました。
ちなみに症例は以下の通り。
専門用語で難しいと思いますので、私が素人さん向けに()内で解説いたします。

「冠攣縮型狭心症に対する一症例」堀内秀訓・鍼灸師
(ニトロを毎日使っていたひどい胸痛が、継続した鍼灸治療でニトロが必要なくなるくらい
治癒した症例)

「多発性嚢胞腎疾患に対する少数鍼治療の一症例」
水本淳・鍼灸師
(腎臓に嚢胞[水の袋]があって、疲労感が強く普通の生活もできなかった患者が鍼灸でQOL[生活水準]がかなり上がった症例)

「繊維筋痛症と診断された胸背部痛の一症例」大八木敏弘・鍼灸師ほか
(原因不明の難病による胸背の激痛が、鍼灸にて改善した症例)

「帯状疱疹の激しい神経痛により厥症に陥った一症例」藤原明宏・ペインクリニック医師
(帯状疱疹[ヘルペス]の後遺症で痛みがとれず、食欲不振や不眠を伴い衰弱していた患者が、2回の鍼灸治療にて改善した症例)

「舌診を中心とした弁証論治による非結核性抗酸菌症の一症例」藤本蓮風・鍼灸師ほか
(原因不明で肺に穴が空き、咳や痰、微熱など伴う患者が、鍼灸にて穴が縮小し、仕事ができるまで体調が回復した症例)

「関節リウマチに鍼灸・漢方薬が奏功した一症例」村井和・内科医
(入院中の重症のリウマチ患者に鍼灸・漢方薬を数年続けることにより、ステロイドを用いなくとも症状が改善し、仕事復帰できた症例)

「膈兪1穴が功を奏した眩暈の症例」藤本彰宣・鍼灸師
(病院にて点滴を受けるも悪化した眩暈の患者が、膈兪というツボ1ヶ所に7回鍼をしただけで治った症例)

また、北辰会代表・藤本蓮風はシンポジウムにて
「これからの日本の鍼灸をつくるー教育の観点から見えてくるものー」
というテーマで、討論がなされました。

明治維新以後、鍼灸は医業類似行為として、医療行為ではないという扱いを受けてきましたが、実際には肩こり、腰痛などにしか効かないものというものではなく、様々な病に効果的な医学なのだということが段々と医師の間でも気付き始めています。
そのうち中国やヨーロッパ等のように、今後医師免許を持たなくては鍼灸をしてはいけないという法律が日本でも出来る日が来るかもしれません。
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                東北大学附属薬用植物園にて
by yurikak5 | 2008-06-10 23:04 | 東洋医学・鍼灸 | Comments(2)

心の病

最近、心の病が流行っている。
特に20代~30代の若い人に多く、簡単に医師は精神安定剤を処方し、
雑誌では簡単に心療内科の受診をすすめ、
本人も鬱病などと診断されて、妙に納得したりしている。
若い頃は誰だって、仕事に悩み、壁にぶち当たり、
自分とは何かと葛藤したりするものだ。
生きるとは何かが分からなくなったり、自分の生き方を模索することは、
決して楽な作業ではない。
死にたいと一度や二度、思わない方が不思議なくらいだ。

そんな時、若者が求めているのは、本当は薬なんかじゃない。
自分の生き方を、真剣に考え、共に模索してくれる人が欲しいのだ。
家族、友人、恋人、先輩、誰でもいい。
そんな親身になって接してくれる人がそばにいるだけで、人は頑張れるのではないか。

病気になると、働けなくなる。
働かないと、世間の目は冷たく、邪魔者扱いだ。
そんな価値のない自分は生きてても仕方ない。生きる意味がない。
だから死んでやる。または殺してやる。
そんな結末にしたのは、他でもない子供に無関心な大人たちである。

世の中のために働くことは素晴らしいことだ。
しかしそうなると、世の中のために働かない人は、
ダメな人ということになる。
そうじゃない。そうじゃないのだ。

人間には、一番重要な仕事がある。
働くことよりも、人の役に立つよりも、何よりも大事な仕事。
それは生きることである。
生きること自体に意味があると思う。
生きていて、成功する人もいれば、失敗する人もいる。
夢が叶う人もいれば、一生叶わない人もいる。
不治の病になる人もいるだろう。

どんな理由があるにせよ、
とにかく死ぬ時が来るまで、ただ生きねばならない。
生まれてきた限り、それを忘れてはいけない。

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by yurikak5 | 2008-06-04 16:56 | 東洋医学・鍼灸 | Comments(5)
明日から三日ほど留守にします。

旅行好きの母を連れて、韓国・釜山に行く予定なのです。
母は大の韓ドラ好きですが、私は仕事に関係ある
「チャングムの誓い」「ホジュン」しか見たことがありません。

もともと辛いものの苦手な私は韓国に行くなど、考えたこともありませんでした。
しかしこれら二つのドラマを見て、専門的な部分を少しも手を抜くことなく(専門家が見ても勉強になるくらいです)、これだけの大作として緻密に作り上げた韓国人は、本当に素晴らしい聡明な民族であり、この国に興味をもつ充分なきっかけになりました。

昨年、中国広州へ学術交流の旅に参加させていただきましたが、生薬市場などは大変興味深く、今回も釜山で韓国での漢方医学のあり方を垣間見れればいいなと思っています。

「ホジュン」というのは「東医宝鑑」という医学書を残した、実在した偉大な漢方医です。
韓国人はそれを大変誇りに思い、「ホジュン記念館」まで作っています。

日本でも江戸時代は、鍼を行う医師は「鍼医」と呼ばれ、外科医と同等かそれ以上の身分でした。有名な杉山和一などは盲人であっても第5代将軍・徳川綱吉の病を治し、絶大な権力を持っていたそうです。

病の増え続ける日本。
また江戸期のように、自国の医学で体を治せるような国になってほしいと切に願います。

古代鍼
接触鍼といって刺さない鍼の一つで、子供や敏感な方に使用します。
金は温め補い、銀は熱をもらし、陰を補います。
漢代の劉勝墓から発掘された埋葬品のレプリカをもとに、師匠が開発したものです。

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by yurikak5 | 2008-05-04 21:42 | 東洋医学・鍼灸 | Comments(6)

子供ってすごいかも

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めずらしく、仕事のお話。

基本的にこのブログは、仕事モードを切り替えるためやっているので、仕事のことはあまり書かないようにしていますが、今日はちょっと感動する出来事があったので。

今日、二年前くらいからよく来院される母娘が治療にやってきました。
娘さんのYちゃんは四歳。幼稚園年少さんです。
来院当初は胃腸も弱く、アトピーもありましたが、ずっと治療してとても元気になり、
今は健康維持のため来られています。

今日はお母さんが腹痛を訴えていて、二人とも治療することになりました。
お母さんの治療がまず終わって、次はYちゃんの番です。
さっきまで機嫌よく折り紙で遊んで待っていたYちゃんが、
ベッドに入るなりついてきた母親に向かって、こんなことを言いました。

「お母さん、何で一緒に来るんよ!あっちいっといて!
向こう(待合室)で遊んでたらいいやんか!!」


そういって、無理やり自分でカーテンを閉めました。
お母さんは仕方なくスゴスゴと待合室へ。

さっきまで機嫌よかったのに、この豹変ぶりは何でしょう??
ただのワガママなんだろうか?自立への過程なんだろうか?

分からなくなって、治療室で二人っきりになったYちゃんに聞いてみました。
「お母さんと一緒が嫌なん?」
Yちゃんは下を向き、首を振ります。
「ううん、違うねん」
「どしたん?」
「お母さん、おなか痛いって言ってたから・・・」
「お母さん、おなか痛いって言ってたから、ゆっくりさせてあげたかったんやね」
と私がいうと、頷いたようでした。

このお母さんはすごく心配性で、片時も娘のそばを離れたがりません。
Yちゃんはそれを知っていて、この位きつく言わないとお母さんが安静にできないと
考えたのです。
たった4才だからうまくは説明できないけど、こんな小さな子供がそこまでの思いやりを
持っているということに私は驚き、また子供というのは大人が思っている以上に
本当は何もかも分かっている凄い存在なのではないかと思いました。

子供も動物も、とっても純粋で愛情深いから、接していると心が癒されるんでしょうね。
たとえ乱暴な言葉でも、その裏には全く違う思いが隠されているのかもしれません。

こっそりお母さんに、さっきのYちゃんの言葉の真相を教えてあげて、
二人ともニコニコ顔で帰って行かれました。
by yurikak5 | 2008-04-01 22:15 | 東洋医学・鍼灸 | Comments(6)

春眠暁を覚えず

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春眠暁を覚えず・・・。

昨日は啓蟄と言って、冬ごもりしていた虫が出てくるとされている日でしたね。
皆さん、最近やたら眠くないですか?かく言う私もその一人。。。
眠いのに熟睡できないなんて人も多いと思います。
さてこれは何故でしょう?


[プチ東洋医学講座]
一つは冬の時期、寒さに耐え頑張ったきた体が、少し暖かくなってきたことで緊張ほぐれ気が緩むため眠くなります。しかし春の陽気が神経を高ぶらせるので、眠いのに熟睡できないなんてことが起こります。

もうひとつは、以前春は木の芽立ちで、人間の気が上に昇りやすいという話を書きましたが、特に気の中でも肝の陽気が過多になり上逆します。すると相対的に肝の陰気が不足しますので、寝ることで陰気を養おうとしていることが考えられます。

長時間のパソコンなどで常に気が上っている方、カフェインや辛いものを取りすぎて、
睡眠をしっかりとらないと、頭痛・頭重・首肩痛・めまい・鼻炎・咳・発熱など起こしますので注意して下さいね。今日もそんな患者さんが多かったです。

では、おやすみなさい。
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by yurikak5 | 2008-03-06 22:41 | 東洋医学・鍼灸 | Comments(3)

寒いけど春ですよ

立春(2/4)を過ぎ、寒い中にも春の香りがしてきました。
春は木の芽立ちの頃といって、何でも上に上に昇っていく季節です。
そのため、花粉症や頭痛・めまいなど首から上の病が多いのです。

また春は肝の気を刺激しますので、良い面で出ればやる気や向上心につながりますが、病的になると怒りっぽくなったり、イライラしたり、逆にうつになったりと、普段から精神不安定な人はますますひどくなるという季節です。

東洋医学での臓器と感情のつながり
   
肝・・怒  心・・喜  脾・・思  肺・・憂  腎・・恐
 (春)    (夏)   (長夏)   (秋)    (冬)

予防法は、カフェイン(コーヒー、チョコ注意!!)・香辛料を控える、目を使いすぎない・
筋肉、特に筋(スジ)をよく伸ばす
(肝と目、肝と筋の関連性から)、よく寝る


ヨモギちゃんも春の気をうけて、大脱走を繰りかえしたり(またもや畳がえらいことに・・・)、
最近とみにフーッと怒って飛びかかってきます(泣)   恐いです。。。
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            「だって、春だもん!!仕方ないでしよ!」ヨモギ
by yurikak5 | 2008-02-16 21:35 | 東洋医学・鍼灸 | Comments(2)

警告!!過労死

2/12の朝日新聞に載っていた記事です。
「過労が脳下垂体を破壊する」大阪市大チーム ラットで確認

昨年、脳・心疾患で過労死した人は147人だそうです。
実際には、自殺者なども含めれば、もっと増えると予想されます。
外国人には理解できない現象だそうですね。
日本人は真面目で勤勉なのは素晴らしいのですが、
そうでない人が生きていけない社会になってしまっています。

この記事は東洋医学の考え方を示すのに、非常に役立つ研究結果だと思いました。
東洋医学(中医学)では脳や骨、骨髄を滋養するのは腎(精)とされています。

過労すると腎が弱ります。腎の気は生命力の根源ですから、腰痛や肩こりなどからはじまって耳鳴り、頻尿、疲れやすい、不妊、無月経、精子欠乏症、アレルギー疾患や膠原病などど数えきれないほどの様々な病気が発症します。

それが進行すると、腎のみでなく脳や骨髄などからも養分を絞り出しますので、脳の細胞が破壊され、死につながることは当然の結果だと言えます。東洋医学では骨髄も腎の弱りからくるので、白血病などの骨髄の病気も過労からおこるという可能性は高いのです。

こういった病気を未然に防ぐためには、
少し疲れたな、腰が痛いなと思ったら、良く睡眠をとることが一番大事です。眠気がなくなるまでいっぱい寝て(寝るだけで腎精が増えるのです)、軽い運動をして足腰を鍛えましょう。
それでも疲れが取れなければ、東洋医学(漢方・鍼灸など)のお世話になった方が、過労死は絶対に減ると私は思います。

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                   「自分らしく、生きよう」
by yurikak5 | 2008-02-14 23:03 | 東洋医学・鍼灸 | Comments(2)

鍼灸と動物と音楽と☆漢方柚鍼灸院・院長ブログ


by yurika