懐かしい患者さん

ここ2週間ほど、新規の患者さんが続き慌ただしい日々が続いていた。
その中でも印象深かったのは、5年前、10年前に来られていた懐かしい患者さん。

「よく思い出して来てくれたね~」と話しかけると、
「鍼灸院だったら先生のところしか考えられない」なんて、思いがけない嬉しいお言葉。
しかし、10年前のカルテを見直してみると、今の自分からしたら、
まるで洗練されてない未熟な施術内容。
患者さんの言葉とは裏腹に、申し訳ない気持ちになってしまう。それなのに。。。

ふと、鍼灸師になりたての20代の頃に考えたことを思い出した。
どんな技術や腕も、一朝一夕にはつかない。
様々な経験を経て、時間をかけて洗練されていく。それは致し方ないこと。
それならば、今、腕はなくとも、お越しいただいた方に少しでも気持ち良く帰って頂けるよう、
腕以外の面での最大限の心配りをしなくては…と。

ただひたすらに患者さんの話に耳を傾け、
少しでも力になれることはないかと無我夢中で頑張っていたあの頃。
もちろん、それでもご満足いただけなかった方もおられただろうが、
こうやって思い出して再び来てくださる方がおられるだけで心が暖まる。
長年、頑張って仕事を続けていると、時々神様がご褒美をくださるのだ。
師の教えである"心持ちの大事"は、少しは守れていたのだろうか。

あれから20数年。多少技術は上がってきたかもしれない。
しかし、技術だけに走らず、あの頃のように原点に戻って、
やはり心持ちの大事を忘れてはいけないと、懐かしい患者さんが教えてくれた。

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実家のバイカウツギ

長きにわたり支持され続けている師匠の著作「弁釈鍼道秘訣集」藤本蓮風 緑書房 が
近々再販されます。(初版 昭和52年)
鍼術の指南書ではありますが、医療者の原点、心持ちについて書かれている哲学書でもあります。
私も大好きな一冊です。



by yurikak5 | 2017-06-07 23:14 | 東洋医学・鍼灸 | Comments(0)

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