ツボの話

しばらくぶりに、専門的な話。

鍼灸師が、鍼や灸をツボに施すのは当たり前の話。
それはれっきとしてツボがそこに存在するからであって、
ツボがそこに刺して下さいといっているかのような
反応を示しているからに他ならない。

鍼には昔から様々な流派があり、
特に戦後などは西洋医学な考えのもとに筋肉や神経に刺せばいいという、
経絡経穴無用論者という流派もあった。今でもスポーツ鍼灸のペースはそこにある。
しかし、その治療の殆どは比較的健康な人の整形外科的疾患にとどまり、
体力の低下した、内科的疾患で受診した人では、
たくさんの刺激のきつい鍼を受け悪化したという話もよく聞く。
しかしそれは当然のことであって、脈も舌も見ず、いきなりブスブスと刺し、
四千年もの歴史を持つ東洋医学の根幹をなす、ツボ、経絡を無視して、
東洋医学本来の持つ最大限の効果など出るはずもない。

最近ある鍼灸師の著作で「ツボはただの妄想」などど言っている、
信じられない人がいることを知った。
全部読んだわけではないが、その人には、きっとツボを察知するだけの
繊細な指先や掌の感覚が足りないのだと思う。

私たちの流派「北辰会」では、体表観察と言って、
ツボを手のひらや指先で感じられるようになるために、数年かけて訓練する。
こう言ったことは、残念ながら学校ではほとんど教えてくれない。
学校は国家資格のための勉強だけであり、それも半分は西洋医学の勉強である。
盲目の鍼灸師や按摩、マッサージ師が非常に腕がいいのは、
目が見えない分手の感覚が数倍優れていて、
まるで掌や指が目のようにツボを発見するからである。

ツボは、健康な状態であれば表情は見せない。
しかし病気が進行すればするほど、様々に変化する。
ツボは専門用語では「穴(ケツ)」と書く。
病の初期は、誰もが肩コリなどで経験するように、ゴリゴリとしこりのようなものに触れる。
このコリは「気滞」と言って、気が停滞したものである。
気が有り余っている実証体質の、比較的軽い段階のものであることが多いため、
揉んだり、運動したりして、気の流れをよくすればそれだけでなくなることもよくある。

しかし、もっと重症になってくると、そのしこりは消え、
ツボの表面が落とし穴のように凹んでくる。
それも最初は凹みの中にコリがあったりするが、
終いには凹みだけになり、そうなると虚証と言って、
かなり気が消耗し足りなくなった状態である。
この段階まできたら、もうきつい局所鍼やマッサージは悪化させるだけとなる。
刺激すればするほど、落とし穴はますます大きく広がり、疲労感が増す。
先日亡くなる一週間前に往診に行った、
末期癌の患者さんの足裏の腎経の湧泉というツボは、
骨まで到達するくらいツボが凹んでいたことに驚いた。

またツボの温度も大切だ。冷えたり、熱を持ったり、体がそういったことを示してくれるから、
私達は為すべき治療の指標が分かる。
落とし穴のようになり冷え切ったツボには、補法と言う手技でゆっくりとした刺鍼速度で、
優しく鍼をしたり、温灸などをしてあげれば、だんだんと落とし穴は浅くなり、ツボに張りが出てくる。
そうすると、内臓は元気になり、気が増し、活力が蘇る。
もっと元気になると、コリがまた出てくることもあるが、これは好転反応である。

私は毎日ツボと対話している。
こんなたくさんの表情を見せてくれるツボや経絡を、
「妄想」などというなんて、全くツボに対して失礼だし、ツボが可哀そうだと思うのだが。

こう言った、東洋医学の基本を知りたい方は、
師匠の近著、「鍼の力」緑書房を参考にしていただきたい。
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Commented by rabi8a at 2009-08-05 20:53
いつもながらヨモギ様のお話は、東洋医学や鍼灸のお話を超えて
心に響きます。
私のツボはどんななんだろう、
思っても見なかったところがごっそりへこんで大きな落とし穴になったりはしてないか、と改めて思いました。
Commented by nmsan2008 at 2009-08-05 21:12 x
人は何もかもを失うことはないし、何もかもを得ることも
できません。得るためには失い、失うことによって得る
ことができるのではないでしょうか。
「盲目の鍼灸師や按摩、マッサージ師が腕がいい」
という言葉にこそ、この世の真実があるような気がします。
Commented by uuamannbo66 at 2009-08-05 21:22
こんばんはm(_)m
東洋医学の力で活きる力をいただいて今活きています♪
針・灸・整体・漢方・自然の治癒力を最大限に活かせる医学は
必要ですね~☆ウサギのヨモギちゃん可愛いですね!!
うちにも「あらし」と「チョコ」が居ます~♪
ヨモギちゃんにもいお芋「紅あずま」とりんご「紅玉」をプレゼンと
しましょう~♪カボチャは・・・嫌いですか?
Commented by yurikak5 at 2009-08-05 23:43
rabi様
こんばんは。丁寧にツボを観察すると、触ったら嫌なツボ、
気持ちいいツボ、発汗しているツボ、ブヨブヨしたツボ、
色々あるんですよ。
これが分かるか分からないかが、プロとアマの差だと思います。
私達のような少数鍼でやっているものは、正しくツボの中心に
刺さないと効き目が雲泥の差なんです。
Commented by yurikak5 at 2009-08-05 23:50
nmsan2008様
ほんとにそうですね。
何かを失ってこそ気付くもの、得られるものもありますね。
神様はうまく作って下さっているのだと思います。
病の中から得られることも、たくさんあります。
Commented by yurikak5 at 2009-08-05 23:53
uuamannbo66様
はじめまして(ですよね?)
コメントありがとうございます^^
ウサ飼いさんですか?二匹とはうちと一緒ですね!
お芋とりんご、ヨモギが大好きなんですよ~。
カボチャはあげたことないですね。食べるのかなぁ?
Commented at 2009-08-06 02:36 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by green-field-souko at 2009-08-06 13:21
あるんです。肩にグリグリが。たまに妹に肩をもんでもらうと、妹はグリグリをつかまえて楽しんでいます。こいつだったんですね…。
ツボが凹んだらヤバイんですね? グリグリがあるうちは、まだマシってことでしょうか。凹んだらヤバイ。凹んだらヤバイ。凹んだらヤバイ。…眠れなくなりそうです(笑)
Commented by yurikak5 at 2009-08-06 22:04
草子様
肩コリ症みたいですね。まぁ、パソコン仕事の人に多いですけど。
妹さんが按摩してくれるなんて、優しいですね。
そうそう、グリグリしているうちはまだましなんです。
凹んだらヤバイですが、グリグリしているうちに、
無理せず運動などして体のケアをしていれば大丈夫ですよ。
どうしようもなく凹んだ際はご一報ください(笑)
Commented by as_78 at 2009-08-07 08:21
コリの仕組みがわかったような。。。
私も肩にグリグリあります(汗)
ひどくなると グリグリ消えます・・っていうか触れなくなります
そんな時は 腕から手の甲あたりまでイタだるくなります
耐えきれずマッサージへ行きますが ダメなんですね・・・
ヨモギ様に 連絡しなければ・・・
Commented by yurikak5 at 2009-08-07 21:05
as_78様
非常によくわかります。
だから、グリグリが消えた時点で、もう働いてはいけません。
体力の貯金が底を付いてますので、寝るに限ります(笑)
マッサージも色々ありますがので、一概にダメとはいえませんが、
刺激の強いのはかえってつかれると思います。
さする程度の方が楽になると思いますよ。
by yurikak5 | 2009-08-04 23:43 | 東洋医学・鍼灸 | Comments(11)

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