壊れた器

昔、私がまだこの世界に入る前、
東洋医学を志したきっかけになった先生に教えてもらった
忘れられない言葉がある。

「東洋医学というのは、壊れた器をもとにもどすというのではなく、
壊れたままでどうやって生かすかということを考えているんだ。
西洋医学は壊れたものを一生懸命、元通りに戻そうとしているが、
そうじゃないんだよ。壊れたものは壊れたままでいいんだよ」


もちろん、すべてが正しいわけではありません。
例えば指が一本足りなく生まれてしまったら、
口蓋裂で生まれてしまったら、
それだけでいじめられるため、
形成外科で手術をすることも良いでしょう。

しかし、もっといいのは、その子が例え指がなくても、そんなこと気にせず
明るく生き生きと振る舞えば、いじめられたとしてもすぐに相手は降参するはず。
(五体不満足という本がありましたが、乙武君のお母さんはすごすぎます・・・)
とはいえ障害(身体的だけでなく、内臓や精神でも)を持ちながらも、
健常者の中で普通に生きることは決して容易くなく、
自分がそうしたくとも、世間や社会構造によってそう出来ない部分があります。

また年をとれば誰だって体の故障が出ます。
長年使った体、若いころと同じわけがありません。
老化を防ぐために、努力するのはよいことですが、
あまりに若い頃の栄光にしがみつきすぎると、かえって病気になります。
やはり「壊れた器」のままに、それなりにできることをすればよいのです。

かけた器なら、まだ水は汲めます。
二つに割れたら、お皿にでもしましょうか。
粉々になったら、土になってまた役に立ちます。
そんな自然と一体になった東洋医学が
私は大好きです。
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Commented by ぴぃちゃん at 2008-12-21 15:38 x
東洋医学は本当に奥深いですね。。。

「壊れたものは壊れたままでいんだよ」・・・
こんな風に言って下さったらどんなに心が
安らぐことでしょう。。。

私は西洋医学で怖いことをいう先生には会ってきましたが
小峰先生や先生の師匠の考えをお聞きする度に
心が安定し、前向きになれて、感謝しています。。。

乙武さんのお母さんは本当に素晴らしいですよね!

おん祭り・・・そう言えば小学校が休みだったかも!?
鹿せんべいは、子供のころは確か20円だったような気がします。
今では150円だったかな?(高っ)


Commented by yurikak5 at 2008-12-21 17:15
ぴいちゃん様
私には師匠と呼べる人が二人いますが、
もしそのお二人との出会いがなかったら今の私はないでしょう。
私の父は初めて行った鍼灸で散々な目に合い、
大嫌いになってましたが・・・。
良い出会いは運命をも変えてしまいますね。

ぴいちゃんさんもずいぶん強くなられてうれしいかぎりです。
人生死ぬまで色々あるのでしょうが、
そんなもんだと思ってお互い頑張りましょうね。

奈良の鹿、最近あつかましすぎて怖いです(笑
Commented by rabi8a at 2008-12-22 10:42
欠けた器を金継ぎして、それがまたすばらしい、ってありますよね。
「壊れたままでいい」いい言葉です。
心も「性格を変えるナントカ」とかポジティブシンキングとかやってみましたけど、そうすることが辛くて止めました。
身体もあちこち壊れているので、最近は無理をしません。
Commented by yurikak5 at 2008-12-22 20:05
rabi様
そうなんです。心から無理矢理強制すると、歪みが出ておかしなことになります。東洋医学では体を治すことにより、心も勝手に治るという考え方です。早く気づいて良かったですね。
無理せず、マイペースなのが一番ですね。
by yurikak5 | 2008-12-21 12:10 | 東洋医学・鍼灸 | Comments(4)

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